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3 大正の日本と第一次世界大戦 3-1 大正時代とはどういう時代か 1912年から1926年までの、わずか14年間しかなかった大正時代は、日本人の歴史意識の上では、極めて印象が薄い時代である。一般大衆にとっての大正時代といえば、関東大震災やいささかおつむの弱かったと言われる大正天皇のことぐらいしか思い浮かばないのである。
しかし、日本近代史にとって、大正時代は極めて重要な時代である。この時代に日本は、帝国主義列強の一国として、世界的に認知され、またそのように振る舞うようになったし、明治時代の産業革命の成果はようやく民衆生活にまで達し、都市の労働者の生活に消費生活といったものが芽生えもした。経済的に少し余裕ができた民衆の間には、文化的な欲求が芽生え、大衆文化が生まれたのもこの時代である。また、明治の民主主義的な権利の実現を求めた運動は、この時代に大いに発展した。それが、明治の自由民権運動とは違った、民衆レベルと文化レベルでの民主化運動としての大正デモクラシー運動である。このような経済的、文化的な盛り上がりのうえに、日本社会は、一見、西欧近代社会の持つ民主主義社会の実現へと向かうかに見えたのがこの時代であるが、その後、日本が歩んだ道はよく知られるように、東アジア諸国への未曾有の侵略戦争と軍国主義国家への道であった。なぜ、そうなってしまったのか、これは未だに研究し尽くされているとは思えない重要な歴史的な課題である。この問題は、第1次大戦後のドイツが世界有数の民主的憲法を持つワイマール共和国となりながら、ヒットラーの登場を許し、再び戦争への道を突き進んでしまったことと並んで人類史における大きな課題なのである。そのような観点から、大正時代を見てみたいとおもう。
3-2 第一次世界大戦と日本 3-2-1 第1次世界大戦の勃発 1914年から1918年までの4年間続いた第1次世界大戦は、参戦国30国、総人口15億人(世界人口の4分の3)、戦死者1900万人(内非戦闘員1000万人)、使われた新兵器は、戦車、飛行機、潜水艦、毒ガス、電流鉄線、といった人類史に例のない大戦争であった。なぜこのような大戦争が起きてしまったのかをまず見てみたい。
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